カエデやモミジを春先(2〜4月ごろ)に剪定すると、切り口から大量の樹液が流れ出ることがあります。これは「樹液流出(ブリーディング)」と呼ばれる現象で、樹木が根から吸い上げた水分が導管を通じて切り口から滲み出るものです。見た目には驚くほどの量になることもありますが、必ずしも樹木が枯れる原因になるわけではありません。
ただし、大量の樹液が長期間流れ続けると、切り口が乾燥しにくくなり、菌が入り込みやすい環境になることがあります。また、切り口周辺の組織が水分で軟化し、腐朽が進みやすくなるケースもあります。
なぜ春に多いのか
カエデ・モミジは冬の間、根から吸い上げた水分を幹や枝の導管に蓄えています。春になって気温が上がり始めると、根の活動が活発になり、木全体に水分が送られます。この時期に枝を切ると、導管の内圧が高くなっているため樹液が勢いよく出てきます。
落葉樹全般にこの傾向はありますが、カエデ科は特に樹液が出やすい樹種として知られています。北米のサトウカエデからメープルシロップを採取するのも、この性質を利用したものです。
剪定時期の選び方
樹液流出を避けたい場合は、剪定時期を次のどちらかに合わせる方法があります。
ひとつは、葉が完全に展開してから初夏にかけての時期(5月下旬〜6月ごろ)です。根の活動は続いていますが、樹液の内圧が春先ほど高くないため、流出が少ない傾向があります。
もうひとつは、落葉後の冬(12〜1月)です。樹木が完全に休眠しているため、樹液の流出は最も少なくなります。ただし、モミジ・カエデは切り口の回復がゆっくりな樹種のため、冬の強剪定も慎重に行います。
流れ出た樹液への対応
樹液が流れている状態で傷口を布でふさぐなどの処置は、菌の繁殖を助ける場合もあるため推奨されていません。一定期間は流れ出たまま経過を見るのが一般的です。
幹や枝の太さ、切り口の大きさによって流出量と期間は変わります。数日から1〜2週間で自然に落ち着くことが多いですが、長期間続く場合や切り口周辺が変色・軟化している場合は専門家に相談することを検討してください。
剪定前の健全度確認
剪定を予定している場合は、事前に樹木健全度チェックリストで樹木全体の状態を確認しておくと、剪定のリスク判断に役立ちます。樹液流出の量だけでなく、切り口の回復力は樹木の健全度にも影響されます。
カエデ・モミジの樹種と目的を選んで月別の剪定適期を確認するには、剪定適期カレンダーをご活用ください。